ぞうきばやしのすもうたいかい

 私の勤務する園では、庭でダンゴムシやアリなどの小さな命に出会うころになり、園児たちの歓声があがっています。
 今回紹介する絵本では、切り株を土俵に見立てて、虫たちがすもう大会を繰り広げます。虫が苦手な親御さんでも子どもと一緒に、虫たちの形や動きに興味を持って楽しめそうです。番付もなく行司もいませんが、対戦の組み合わせや決まり手がおもしろく、子どもたちもワクワクするでしょう。

 オサムシとカメムシはお互いに強烈な臭いが武器、勝つのはどっちかな。大一番は、やっぱりクワガタムシとカブトムシの対決。ページをめくる手にも力がはいり、勝負を予想するドキドキが生まれそうです。
 勝敗を知った後でも何度も読み返したくなるのは、きっとダイナミックかつ繊細な昆虫の描写でしょう。短くわかりやすい言葉の表現も心地よく、繰り返し楽しめます。 

 これからの季節、子どもたちが自然との出会いの中で小さな命に思いをはせ、好奇心のアンテナを広げる機会になっていくでしょう。

 仁村由美子(聖霊女子短期大学付属幼稚園・保育園)

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対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 広野 多珂子/作 廣野 研一/絵
出版社 福音館書店