もりのなか

 主人公の小さな男の子「ぼく」は、紙の帽子をかぶりラッパを持って森へ散歩に出掛けます。そこで出会ったのは、ライオン、ゾウ、クマなどのいろいろな動物でした。男の子が歩き出すと動物たちがついてきて、散歩は長い行列になります。たどり着いた場所は誰かがピクニックした後。そこでみんなはおやつを食べ、楽しく遊びます。
 モノトーンで描かれた絵は奥行きがあり、森の広さや深さを感じます。それはまるで男の子の想像力豊かな心を表しているようです。昼寝や水浴びをする個性豊かな動物たちも、小さい子の日常や見るもの聞くものと重なります。森には男の子の幸せな世界が広がっているのです。
 森で遊ぶ男の子を迎えに来たお父さんの言葉がまたすてきです。男の子の心にきちんと寄り添い、愛情が感じられます。
 色がついていないことで、かえって見る人の想像力が膨らみます。親子でゆったりとした気持ちで楽しんでみてください。

田丸美穂(県子ども読書支援センター)

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対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 マリー・ホール・エッツ/文・絵 まさき るりこ/訳
出版社 福音館書店