山の麓で暮らすじいさとばあさ。じいさは1羽のスズメを大切に育てていました。ある日、スズメがばあさの洗濯のりを全部なめてしまい、怒ったばあさはスズメの舌をちょん切りました。
「なんとむごいことを…」とじいさ。スズメのお宿を探し、謝り行きます。スズメはじいさの訪問を喜んでもてなし、お土産につづらをくれました。中を開けると、大判小判がざっくざく!それを見たばあさはもっと宝が欲しくなり、さらに大きなつづらをもらいに行きますが…。
この作品は、語り伝えられてきた昔話。口承による物語を絵本に表す場合、情感を壊さないための心配りが必要だと言われています。この絵本は、想像力をかき立てる文章と細部まで美しい挿絵がそろい、とても丁寧に作られています。牛が「びんがびんが」と光る、「ちんからりん」と機を織るなど、独特の描写が魅力的です。
昔話を通して、さまざまな生き方や生活の知恵を経験することは、成長していく子どもたちの糧となることでしょう。
解説:佐々木禎子(秋田市中央図書館明徳館)
▶お父さん・お母さんへの内緒話
作画の赤羽末吉さんは1980年に国際アンデルセン賞画家賞を受賞しました。その2年後に刊行されたこの絵本は、スズメのお宿の場面だけが墨で描かれています。不思議な世界を表現するための工夫だそうです。
対象年齢 | 5歳ぐらいから |
---|---|
作者名等 | 石井桃子/再話 赤羽末吉/絵 |
出版社 | 福音館書店 |