ウサギの耳はなぜ長いのでしょう。メキシコに昔から伝わる民話を基にしたウサギが主人公の絵本を紹介します。
体が小さく、いつも森の強い獣たちにいじめられてばかりのウサギは「体を大きくしてほしい」と神様へ願いました。神様はウサギにトラとワニとサルの皮を剥いで持って来たら、ウサギの願いを叶えることを約束しました。
ウサギは勇気を出して森の中へ行き、トラ、ワニ、サルを順に知恵を絞って次々と倒し、皮を剥がして神様の元へ戻ります。
ところが、神様は森の強い獣たちを倒してきた、賢いウサギの体を大きくしませんでした。「恐ろしいことになるから」と代わりに耳を長くしたのです。
神様から与えられた難しい試練を乗り越えたのに、約束をかなえてもらえません。ウサギにとっては少し理不尽かもしれません。神様は森の中の生き物たちのバランスが大きく崩れることを恐れたのでしょうか。
小さく弱いウサギがトラなどの大きく強い獣たちを倒す物語は、子どもにとっては痛快。メキシコで絵を描きつづけた北川民次さんの迫力のある骨太な絵も見応えがありますよ。
千葉智晴(木育パパサークル「あきた木木遊び隊」)
対象年齢 | 5歳ぐらいから |
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作者名等 | 北川 民次/文・絵 |
出版社 | 福音館書店 |