ぼくのかわいくないいもうと

 主人公のこうたには妹がいます。名前は、まほ。おしゃべりででしゃばりです。
 最悪なことに、こうたの2年1組とまほの1年3組は教室が隣り合わせ。休み時間になるとまほは友達を連れてこうたの教室にやって来ます。こうたは、教室から逃げ出しますが、遠くから「お兄ちゃーん」と叫ぶまほの声が聞こえて来て、いつも見張られているみたいです。
 家ではゆっくりしたいのに、こうたとまほの部屋は一緒。宿題も落ち着いてできません。そんなまほに、こうたのおたふく風邪がうつってしまいます。するとこうたの生活が一変。休み時間は友達と汗を流して遊べるし、家では宿題がぐんぐん進みました。
   見どころは、この後。最初は喜んでいたこうたの気持ちがだんだん変化していきます。まほが元気になって元の生活に逆戻りし、やっぱり妹をうっとうしく思うこうた。兄妹愛を独自の視点から描いた作品です。 
   作者の浜田桂子さんは「あげます」(ポプラ社)という絵本でも、きょうだいを題材にしています。ほかに瀧村有子さんの作品「ちょっとだけ」、角野栄子さんの「あかちゃんがやってきた」(ともに福音館書店)もお薦めです。                                              

金田昭三(児童文化研究家)

2017マザーズタッチ文庫へ進む

対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 浜田 桂子/作・絵
出版社 ポプラ社