昔々山の中の一軒家に、きこりの夫婦が住んでいました。そこには度々、いたずらをするタヌキがやってきました。ある晩、糸車を回して糸を紡いでいたおかみさんは、障子の穴からまん丸の目がのぞいているのに気付きました。満月に照らされて障子に写ったのはタヌキの影。糸車を回すまねをしていました。そのしぐさがかわいくて、おかみさんはタヌキの来訪が楽しみになりました。
ある日タヌキは、きこりの仕掛けた罠に引っ掛かってしまいます。おかみさんはかわいそうに思い、タヌキを助けてあげました。
麓の村で冬を越した夫婦が、春に山の家に戻ると。ほこりだらけのはずの糸車はぴっかぴか。糸の束が山のように積まれていました。冬の間、あのタヌキが糸車を回していたのです。おかみさんと目が合ったタヌキは、満足そうにひと踊り。山に帰っていきました。
昔の生活や四季の美しさが感じられ、おかみさんとタヌキの交流も心温まります。この絵本は現在、書店での購入が難しいのですが、同タイトルの絵本が多く出版されています。その中の1冊をぜひ手に取ってみてください。
三浦恵理子(秋田市寺内保育所)
▶お父さん・お母さんへの内緒話
日本の昔話に度々登場するタヌキは、人里近くに住む身近な動物。子育ての仕方が人間と似ていて、母親がえさを探す間、父親が子守をするそうです。悪ダヌキとして登場する話もあり、人間臭い魅力があります。さまざまな物語を探して楽しんでください。
対象年齢 | 5歳ぐらいから |
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作者名等 | 木暮 正夫/文 水野 二郎/絵 |
出版社 | チャイルド本社 |