ひなまつりにおひなさまをかざるわけ

 昔、両親のいない4人きょうだいがいました。上の2人の兄は仕事ばかりで、3番目の三郎次が一番下の妹おはなの世話をしていました。ある日三郎次が畑仕事をしていると、そばで遊んでいたおはなが川に落ちてしまいます。なんとか助けることはできましたが、その夜から、おはなは高熱が続きます。兄たちは看病も三浪次に押し付けました。
 三郎次の献身的な看病は続きました。すると十日目の夜、居眠りをしてしまった三郎次に、桃の木の小枝で作った人形が語り掛けます。いかだを作り自分をのせて川に流すように、と。人形は、おはながいつも遊んでいるものでした。熱をもった木切れの人形は身代わりとなって川を流れていき、おはなはすっかり元気になります。
 この話を聞いた人たちが、女の子が生まれると木切れやわらで人形を作るようになりました。そして女の子が病気になると、この人形を川に流したのです。やがて人形を流さず飾るようになりましたが、この風習に込めた思いは変わらず受け継がれています。

柴田麻衣子(横手市図書館課)

▶お父さん・お母さんへの内緒話
 もうすぐひなまつり。華やかな人形を囲んで過ごす家庭は多いでしょう。ひなまつりにちなんだ絵本を手に取ってみても、また違った楽しみ方ができると思いますよ。みんなが元気に無事に過ごせますように。

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 瀬尾 七重/作 岡本 順/絵
出版社 教育画劇