もこ もこもこ

 赤ちゃん絵本の名作中の名作と言われている絵本です。生後3カ月を過ぎると赤ちゃんは少しずつ物や色を認識できるようになります。その頃から4歳頃まで、長く楽しめる一冊です。
 地面と「しーん」という言葉だけが描かれた場面から始まります。そして地面から「もこ」と何かが盛り上がり、次々に変化していきます。
 明確なストーリーや登場人物がいるわけではないように見えます。出てくる言葉も「もこ」「にょき」など擬音・擬態語ばかり。大人は最初、何が面白いのだろう?と思うかもしれません。でも、お子さんに読んでみてください。絶妙な色合いで描かれた絵と言葉が、お子さんのツボにハマっていきます。
 シンプルが故に奥が深い…とは、この絵本にぴったりな言葉です。読み手の表現一つでいろいろな楽しみ方ができます。声に強弱をつけたり、リズミカルに読んだり、言葉を繰り返したり。読み手の表現とシンプルな内容が相まって、お子さんの感性を刺激します。
 私が保育所で読む時、イラストや言葉に合わせて手を動かすと、子どもたちもまねをして一層喜んでくれます。ぜひ、お子さんと一緒に心まで「もこもこもこ」とふんわりした時間を過ごしてください。

佐竹美緒(秋田市河辺保育所)

(令和6年3月16日秋田魁新報掲載)

 

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対象年齢 赤ちゃんから(0歳~ )
作者名等 谷川俊太郎・作、元永定正・絵
出版社 文研出版