古環境の復元と同時に、建築材の利用状況を調べるために、樹種の鑑定も実施している。
外柵の東端部で抜き上げた角材23本は、すべてがスギである。
外郭西門の調査では、丘陵部ながら柱穴の下部にわずかに柱根が残っていて、クリ材であることが判明した。
その柱の下に敷いた礎盤はスギである。
外柵南門では、柱12本のうち、10本がクリ、他はトネリコ属1本、ハリギリまたはケヤキが1本である。この他、石塁南側にある創建直前の時期と考えられる溝から出土した伐採痕のある樹木は、建築材に用いられるアサダ・クリの他、エノキ属の一種・ヤマグワ・トチノキである。