遺跡の概要・調査成果

調査成果 自然科学的調査

電気探査による河川跡の調査

第92・93次調査では外柵南門や材木塀の調査のほか、外柵南部の低地を対象として遺構を確認する目的の調査を行った。

その結果、外柵南門と外郭南門との間には東西に流れる河川跡があり、その河川敷は南北100mにも及ぶものであった。
この川は、外柵の創建前から存在し、外柵材木塀と川の流れが交差する所には、元来材木塀が作られていない、という従来全く予想もしない事実が明らかになったのである。

当然のことながら、川の流れが外柵の中に入って来る位置と、外へ出る位置でも、材木塀は作られていないはずである。
外柵東部では材木塀が厚さ1mの砂礫層に覆われている部分があることがわかっていたが、それは川の氾濫によるもので、確実な川の入り口部分はまだ見つかっていない。
出口部分も同じである。

外柵南部の低地に広く横たわる河川敷の範囲と、材木塀の途切れる位置を確認することが、払田柵跡の調査にとっての新しいテーマとなった。
地表から川底までは約2.5mほどであるが、河川敷は地表からは全くうかがい知ることはできない。

しかし、外柵の低地はほとんどが水田となっているので、広く掘ることは土地を公有化しない限りは無理である。
そこで、水田を掘らずに、物理調査を用いてこれらを調査する方法がある。
この調査を、秋田大学鉱山学部応用地球科学教室の西谷忠師助教授(当時)にお願いし、第93次調査の際に試験的に実施した。

その結果、電気探査の垂直探査および水平探査では、最終段階の河川跡や、砂質土・粘土層を把握することができることがわかり、この方法が河川敷の範囲を特定するのに有効であることがわかった。

そこで、平成6年度に第101次調査として、より広い範囲で実施したところ、河川敷は南北250mにも及び、長森の裾付近まで達している所さえあった。
この探査を東西方向に広げることにより、河川敷の範囲や、材木塀の作られていない位置を絞り込むことができるであろう。

河川敷の電気探査

河川敷の電気探査

その他の自然科学的調査