はなのあなのはなし

 

 
  
 
 

 体の秘密や不思議に焦点を当てた絵本を生み出す作家さん。今回の本は「はなのあなをしっかりとふくらましてよんでください」というユーモアあふれる注意書きから始まり、鼻の穴を入り口に、鼻毛、鼻くそ…と話が膨らんでいくお話です。
 それでは準備を整え、鼻の穴の中へ…もとい、絵本の中へ。「ぼく」の鼻の穴をあつこちゃんのと比べるとぼくの方が大きいけれど、おじいちゃんのと比べると負けてしまう。大きさが違う3人ですが、形は丸形で一緒のようです。人間は皆丸形?
 いやいや、顔や体つきがそれぞれ違うように、鼻の穴も一つとして同じものはありません。では動物は?アザラシが水に潜っても鼻の穴に水が入らないのはなぜ?と、皆さんがこの文を読んでいる間も鼻の穴が絶えず役目を果たしています。そう、空気を吸って吐いて息をするという、生きるための大事な役目を。鼻の穴が詰まると、匂いが分からなくなったり、「だんだんはだつばりがひどくだってきちゃった」と言葉がはっきりしなくなったりして大変!
 鼻毛の役割や鼻くそができる仕組みなどと続きますが、難しいことはありません。膨らむ疑問や好奇心に対してユーモアを交えて寄り添ってくれる、親子の会話も弾む一冊ですよ♪

 

髙橋寛光(あきたパパ絵本チーム「パパコラボ」)

(令和7年11月1日秋田魁新報掲載)

2025あふれちゃんのえほんばこへ進む

対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 やぎゅう げんいちろう・作
出版社 福音館書店