おつきみおばけ

 

 
  
 
 

 もうすぐ十五夜。美しい満月はもちろんですが、何と言っても花より、月より、お団子が楽しみですね。わが家でお団子作りをした時、子どもたちがウサギの形をたくさん作ってくれたことがあり、懐かしいです。
 さて、物語はそんな十五夜のこと。森に住む「おばけちゃん」が耳を澄ましています。「おやっ! だれか ないているな」。それは、ママが居ないと泣いているウサギの子でした。
 おばけちゃんは、張り切ってうさぎちゃんのお守りをします。団子を乗せる台の「おさんぼう」やススキを飾り、お月見に誘いますが、うさぎちゃんはお団子が無いと泣き続けます。
 親切なおばけちゃんは、自分がお団子に化けることにします。見事なお団子が現れ、うさぎちゃんは大喜び。ところがあんまりおいしそうで、ひとくちかじってみたくなったから、もう大変。硬い草の茎も食べるウサギの歯は鋭いのです。うさぎちゃんがあーんと開けた口にも、あどけない顔に似合わず鋭い歯が! 危ない、おばけちゃん!
 おばけちゃんは、どんなに痛かったことでしょう。でも、その頑張りは空からお月様もきっと見ていて、褒めてくれると思います。皆さんもぜひ十五夜にお月見を楽しんでくださいね。

 

遠藤美弥子(おはなしの会「おはなしの扉」)

(令和7年10月4日秋田魁新報掲載)

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対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 せな けいこ・作・絵
出版社 ポプラ社