たんたのたんてい

 

 
  
 
 

 夏の終わり、日曜日の朝早く。元気な男の子のたんたは、起きてすぐ外へ出て、郵便受けに新聞を取りに行きます。ところが中をのぞいても新聞がありません。
 代わりに見つけたのは、中身が分からない1本の使いかけのチューブ。すぐに家へ戻り、大切にしまっていた虫眼鏡を出してきてそれを調べ始めます。気分はすっかり探偵です。
 チューブには半分消えかけた「にんじんいろ」の文字で何やら書かれています。読み取れた文字は、「に・じ・は・がき」。たんたは、うさぎのギックの「にんじんはみがき」だと推理します。でも、どうして郵便受けの中にあったのでしょう。そして新聞はどこへ?
 チューブの持ち主にたどり着くと、別の使いかけのチューブがまた見つかり、仲間もどんどん巻き込まれていきます。たんたは、正体の分かった歯磨き粉で歯を磨いたり、かゆみ止めだと分かったチューブの薬を虫刺されに塗ったり。勝手に使ってしまうところがなんともほほ笑ましいですね。
 小さな探偵さんが、仲良しの動物たちと繰り広げるかわいらしいミステリー。少し背伸びをして、こんな冒険物語はいかがですか。

 

柴田 麻衣子(横手市職員・司書)

(令和7年8月30日秋田魁新報掲載)

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対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 中川 李枝子・作/山脇 百合子・絵
出版社 Gakken