水の絵本

 

 
  
 
 

 今回は水の日(8月1日)や水の週間(8月1~7日)にちなみ、「水の絵本」をご紹介します。詩人の長田弘さんと、絵本作家の荒井良二さんによって生み出された作品です。
 家族に見送られて旅に出た2人。手こぎのボートで水の惑星を巡ります。美しい絵と、語りかけるような詩が心にしみ入ります。「どんな いろも してないのに どんな いろにでも なれるもの」「どんな かたちも してなくて どんな かたちにも なれるもの」。身近に当たり前にある水の見方や、感じ方を問い直してくれます。
 川を下った2人は、キャンプなどで水に触れます。次々に描写される山や川、魚、動物、花、昆虫、そして地球と人々。生き物たちの声が聞こえ、水の音や温度が本から伝わってくる気がします。香りまで漂ってきそうな不思議な感覚になるのは、私たちがこれまで体感してきた記憶が呼び起こされているのかもしれません。
 「ははのように いのちを つくり ちのように からだをめぐり たましいを ぬぐってくれる いのちの おしっこ」水を巡る旅を終えた2人が向かったのは、手を振って待つ家族のもと。この星の水の循環が、ずっとずっと続きますように。

 

髙橋寛光(あきたパパ絵本チーム「パパコラボ」)

(令和7年8月2日秋田魁新報掲載)

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対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 長田 弘・作/荒井 良二・絵
出版社 講談社