黒いマントに黒い帽子のこわーい3人組の泥棒がいました。夜になると山を下り、獲物を探して歩きます。この3人に狙われたら、しっかり者でも肝をつぶし、気を失う人まで出る始末。みんなに恐れられていました。
ある夜のこと。泥棒たちは、みなしごのティファニーちゃんをさらいます。ティファニーちゃんは、3人が集めた宝の山を見つけて聞きます。「まぁぁ、これ、どうするの?」さあ、困ったのは3人!だって今まで一度もお宝の使い道を考えたことがなかったのですから。
考えに考えた泥棒たちは不幸な子どもたちのためにすてきなお城を購入、一緒に暮らすことに。国中からたくさんの子どもたちが集まって、幸せに暮らせるようになりました。泥棒たちもずーっと感謝されたとか。
前半は暗くて怖い3人の見た目や道具などが、不気味な雰囲気を醸し出しています。ところが、ティファニーちゃんをさらったところから、3人の運命が大きく変わります。人生の中で「出会い」が人の生き方をすてきに変えてしまうこともあるのだと教えてくれているようです。読んでいくうちに幸せな気持ちがじんわりと広がっていく一冊です。
石坂 千雪( 鹿角市児童センター・子ども未来センター )
(令和4年1月15日秋田魁新報掲載)
対象年齢 | 5歳ぐらいから |
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作者名等 | トミー・アンゲラー・作 いまえ よしとも・訳 |
出版社 | 偕成社 |