アブラ カダブラ カタクリコ

 愛らしいウサギの表紙をめくると、舞台中央のテーブルにはシルクハットが一つ置かれています。何が始まるのかな、期待に胸が高鳴ります。おや、帽子の中に見えるのは白い三角の、耳でしょうか。登場するのは赤いちょうネクタイでおめかししたウサギ。魔法が使えるウサギのハティーです。
 ハティーが澄まし顔で、「アブラ カダブラ カタクリコ」と唱えると、帽子の中から次々に動物が出てきます。ちらりと見えるのは耳? しっぽ? クニャクニャした、何だろう? 出てくるものがだんだん大きくなってきたと思ったら、次はつっかえて出てこられないよ!みんなで引っ張って、それ、いち、に、さん!
 「アブラ カダブラ カタクリコ」と何度も声に出して読んでください。小さい子の片言の呪文も、無敵のかわいさです。
 実際に子どもが生まれて育っていく過程も、わくわくびっくりの魔法のような奇跡の連続ですね。そばで見守る大人は、時にハラハラしながら、その時間を共にする喜びを逃さないように、大切に存分に楽しませてもらいましょう。 

 

松橋 桜( 秋田市立中央図書館明徳館文庫 )

(令和3年12月11日秋田魁新報掲載)

 

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対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 きたむら さとし・作
出版社 BL出版