赤ちゃんのきれいに澄んだ瞳が、この世界をしっかり映すようになるまでには、意外に年月がかかるそうです。
ですから、赤ちゃんが楽しむ絵本は、視力が発達していなくてもはっきり見えることが大前提。東君平さんの絵はぴったりです。黒と白のコントラストが美しいシンプルな形の絵は、小さな赤ちゃんでも、もちろん大人でも、大勢がいっぺんに楽しむときでも、見る人にはっきりと届きます。
この絵本にはくまの親子が出てきます。見開きで、左にとうさんくま、右には子どもの「みかづきちゃん」がいます。最初のとうさんは黒いシルエット。そのシルエットに、目、耳、口、首のみかづき模様がつき、最後にはふたりそろって、くるんと逆立ちしています。
「みかづきちゃんのはちいさいよ/ちいさくたって」という文章が繰り返されます。みかづきちゃんは、大好きなお父さんみたいに、早く大きくなりたいのでしょう。でも今の自分も大好き、という幸福感があふれています。
「みかづきちゃんうまれたよ」「みかづきちゃんてをつなご」の2冊も合わせてお楽しみください。
遠藤 美弥子( おはなしの会「おはなしの扉」 )
(令和3年10月9日秋田魁新報掲載)
対象年齢 | 赤ちゃんから(0歳~ ) |
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作者名等 | 東 君平・作 |
出版社 | 亜紀書房 |