日本の昔話です。病気になったお母さんが、3人の兄弟に「おくやまのやまなし」が食べたいとリクエストします。まずは1番目のたろうが、やまなしもぎに出かけます。
途中、たろうは大きな切り株に座るばあさまに、おわんに水をくんできてほしいと頼まれます。たろうは「いそがしい」と断りますが、ばあさまは、やまなしの木がある沼までの安全な道のりを教えてくれます。けれど、たろうは違う道を行ってしまい、やまなしもぎの途中で、沼のぬしに「げろりっ」とのみ込まれてしまうのです。
2番目のじろうも帰って来ませんでした。最後に残ったのは3番目のさぶろう。さぶろうも、沼のぬしにのみ込まれてしまうのでしょうか…。
ばあさまと沼のぬしは何者なのか。気味悪さと迫力が子どもたちの心を捉えます。また、素直に人の話に耳を傾けることの大切さや、勇気を持って立ち向かうことの素晴らしさを、昔話ならではの語り口で優しくユーモラスに伝えてくれます。美しい秋の山や、怖いけれどよく見るとちょっぴりかわいい沼のぬしにもご注目!
石坂 千雪( 鹿角市児童センター・子ども未来センター )
(令和3年9月25日秋田魁新報掲載)
対象年齢 | 3歳ぐらいから |
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作者名等 | 平野 直・再話/太田 大八・画 |
出版社 | 福音館書店 |