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風土を楽しむ

上郷の小正月行事(横岡サエの神行事)

画像:上郷の小正月行事(横岡サエの神行事)

 鳥海山の麓、標高229mの場所に位置するにかほ市横岡地域では、厳しい寒さの中、1月15日に「上郷の小正月行事」が行われ「ドンドン」と太鼓の音と共に、子どもたちの元気な歌声が集落内に響き渡ります。

●上郷の小正月行事(国指定重要無形民俗文化財)
「上郷の小正月行事」は横岡と大森の2集落で行われる小正月行事で、平成10年(1998年)12月16日、国の重要無形民俗文化財に指定されました。横岡では「サエの神行事」とも呼んでいます。
集落の子どもたちが主体となり、五穀豊穣、無病息災、安産祈願などを祈るもので、1月15日に「サエの神小屋焼き」「鳥追い」「餅もらい」などをひっくるめた「小正月行事」が行われます。

●サエの神 
 「サエの神」は、村の峠などに祭られ、外から悪鬼や疫病が入り込まないように村を守る神様として考えられています。横岡のサエの神は、集落を通る道沿い4か所に「男性のシンボル」をかたどった姿で祭られており、妊娠中の方や女性にもご利益があると言われています。
 
●サエの神小屋焼き
 最初に行われる小正月行事の一つが「サエの神小屋焼き」です。集落の男性の数だけワラを束ねて「ヌサ(ノサ)」といわれる「神の依り代」を作るのですが、横岡地域では男性のシンボルを象ったものを作り、その年の福徳を司る神様(歳徳神)のいる方角、地元では「歳徳の方角」と呼ぶ方角に「ヌサ」を吊るしておきます。そして1月11日に集落の大人たちがワラと「ヌサ」を集め、サエの神の近くに、集めてきたワラで小屋を建てるという作業を行います。 →小屋立てづくりの様子(産地直送ブログ)
 
 1月15日の朝になると、サエの神を氏神としている、旧家・斎藤太助さんの当主が、本尊の近くでのろしを上げ、その合図により、4か所のサエの神小屋に一斉に火が放たれ、小屋の内部には古い木製のサエの神が祀ってあり、そのご神体も一緒に焼かれます。
 
●「鳥追い(一番鳥、二番鳥、三番鳥)」「餅もらい」
 小屋を焼いた後、子どもたちは家で待機し、14時頃に自分の夕食を持参して、現在宿にしている横岡自治会館に集まります。
太鼓や唄の練習を行ったあと、16時頃から最初の練り歩き「一番鳥」が始まります。中学生が太鼓を叩き、小学生は「鳥追いの唄」や「サエの神の唄」を唄いながら、4か所のサエの神小屋の焼け跡の周りをそれぞれ3周します。これが「一番鳥」です。

「一番鳥」を終えたら、会館に戻って夕ご飯を食べ、「二番鳥」「餅もらい」と称して、集落の家々を「もちもらいの唄」を唄いながら集落を練り歩きます。お餅、みかんやお菓子などをもらってまわりますが、不幸があった家には回らない決まりがあるほか、初嫁(新婚の女性)がいる家では「初嫁ではれ」と「はつよめの家の唄」を唄うこともあります。
 
 「二番鳥」と「餅もらい」が終わったら小学生は解散します。中学生は横岡自治会館に一泊し、翌16日早朝に「三番鳥」と称し、「鳥追いの唄」を唄いながら集落を練り歩き、サエの神の小正月行事は終了となります。
 
 このように、横岡地域で行われる小正月行事は、子どもたちが主体となって行う、大切な行事として受け継がれています。
平成23(2011)年4月掲載

 

【関連リンク】産地直送ブログ
2021年、上郷の小正月行事リポート(2021年掲載)
雨にも負けず「餅くれ!餅くれ!」横岡の小正月行事(2019年掲載)
自治会便り99号から上郷の小正月行事(2018年掲載)
自治会便り72号からサエの神行事(餅もらい)(2016年掲載)
自治会便り59&60号から上郷の小正月行事(2015年掲載)
自治会便り48号から雪中田植えなど小正月行事(2014年掲載)
サエの神の小屋立てリポート(2012年掲載)
横岡のサエの神行事リポート・後編(餅もらい編)(2011年掲載)
横岡のサエの神行事リポート・前編(一番鳥編)(2011年掲載)

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