画像:白岩焼

 白岩(しらいわ)焼は江戸中期から明治中期にかけて、仙北市白岩地域で生産された陶器です。

 かつては、地域のどの家にも白岩焼があり、甕や鉢など多くの生活用品が作られました。最盛期には年間4万個以上の白岩焼が生産されたと言います。

 白岩焼は、明和8年(1771年)、相馬(福島県)の陶工・松本運七が、白岩で上質な陶土を発見し、地元の陶工が焼き物の技術を引き継いだことから始まります。「イ窯」「ロ窯」「ハ窯」「二窯」「ホ窯」とと名付けられた窯が次々と築窯され、「見下せばヤエ~ 上方まさる瀬戸も出る、其瀬戸にヤエ~ 色模様つけてはやります」と、民謡・白岩節にも歌われるようになります。地域経済にとってたいへん大きな存在でした。 

 白岩焼は独特の「青」が特徴で、「なまこ釉」と呼ばれる釉薬によって、この色が生み出されます。柚薬、鉄分を含んだ土、焼く時の温度調節、すべての条件をクリアしてもその美しい青がでるとは限りません。

 上ノ台堤から土を採る作業、柚薬に必要な木材の切り出しなど、白岩の前郷通りに住む人々は白岩焼の生産にさまざまな形で関わってきました。今でも、当時の「屋号」が前郷通りの家々には残されており、職人長屋だった当時の賑わいが感じられます。

 明治29(1896)年の陸羽地震で、ほとんどの窯が倒壊し、一度は途絶えた白岩焼ですが、そこは歴史と文化を受け継いできた地域。白岩焼を復興しようという人々の努力により、現在も制作を続けている窯元(和兵衛窯)があります。また、有志で作る「白岩焼陶芸組合」が白岩焼の技術向上に励んでおり、130年の歴史をもつ白岩焼の煙は、今も途絶えることなくあがり続けています。

平成22(2010)年4月掲載

■参考文献
『白岩焼窯跡 説明看板』仙北市教育委員会
『白岩焼陶芸塾 説明看板』

【関連リンク】産地直送ブログ   
仙北市白岩地域の『白岩焼陶芸塾』(2023年3月掲載)
仙北市の「白岩焼陶芸塾」で電気窯「里窯(きょうがま)」の導入!(2021年9月掲載)
白岩地域の特産「白岩焼」(2020年7月掲載)

こちらの記事もおすすめです

白岩ささら

 白岩ささらは、仙北市白岩(しらいわ)地域に400年伝わる郷土芸能で、秋田県の無形民俗文化財に指定されています。お盆期間に白岩神明社や雲厳寺などで奉納され、3頭の獅子とザッザカと呼ばれる道化役がリズミカルな舞を披露...

伝統行事・イベント

伝統行事

館山(たてやま)

中世の歴史が残る山城址  仙北市白岩(しらいわ)地域には、中世にこの地を治めた豪族・白岩氏の山城跡「館山(標高220m)」があり、仙北市の史跡に指定されています。白岩地域を通る県道50号から、横手方面に「みずほの里ろ...

自然・施設

史跡

白岩城址燈火祭

 時空を越えた光の一大ページェント  白岩城址燈火祭は、仙北市白岩(しらいわ)地域の活性化に取り組む住民グループ「白岩村おこし プロジェクトS」が、地域の歴史や文化に光をあてながら、雪国の冬を楽しむイベントとして...

伝統行事・イベント

伝統行事