秋田県の無形民族文化財に指定されている「赤田大仏祭り」は、江戸時代、「赤田の閑居様」と地域の人々に慕われた是山(ぜさん)和尚が、長谷寺(ちょうこくじ)に、「赤田の大仏」と呼ばれる長谷十一面観音像を造ったのちに始まったといわれています。五穀豊穣、家内安全を祈願する200年以上続く、由利本荘市赤田の伝統行事です。

 8月21日と22日の2日間に行われるこの祭典は、長谷寺と赤田神明社の合同で行われる、神仏混合の全国的にも珍しい祭典です。21日に、大仏の分身を入れた御神輿を長谷寺から神明社に移して一夜を明かし、22日に御神輿は長谷寺をめざし、神明社を出発します。

 見所の一つが、御輿の前後を練り歩く100名を越える「赤田獅子舞」や「平岡獅子踊り」などの奉納芸能の集団です。周辺地域に伝わる民族芸能が一同に会し、行列を作り練り歩く様は見応え満点。ひょっとこ面をかぶった「赤田シャギリ」と「北福田シャギリ」は、そのユニークな風貌と踊りで、祭典を賑やかに演出します。

 赤田大仏祭りは、豊作を祈願する農耕文化の一面だけでなく、是山和尚を慕う赤田の人々が、氏子や檀家の域を越え、町内全体で、この祭典を伝承してきました。神明社と長谷寺をつなぐ赤い橋を練り歩く行列からは、地域の団結力の強さが伝わってきます。

平成23(2011年)4月掲載

■参考文献
『本荘市史 文化・民族編』

【関連リンク】元気ムラ応援サイト
赤田の大仏

【関連リンク】産地直送ブログ
大切に守り継がれる、由利本荘市赤田の「赤田大仏祭り」(2012年9月掲載)

こちらの記事もおすすめです

大般若と供物(あげもの)行事

 2月11日、由利本荘市赤田地域の長谷寺(ちょうこくじ)には、たくさんの人々が集まります。「大般若会」、住民が「大般若」と呼ぶこの会は、三蔵法師が天竺から持ち帰ったお経「大般若経」を読む会です。  このとき、地域で...

伝統行事・イベント

伝統行事

六ヶ村堤

 江戸時代から続く地域の水がめ  由利本荘市赤田地域の神明社からさらに山の方へと向かうと、すぐに大きな堤が見えてきます。これが「六ヶ村堤」と呼ばれる地域の水がめです。  江戸時代中期、宝暦年間(1751年~1763年...

歴史

ビューポイント

お互いさまスーパー「赤田ふれあいスーパー」

 平成28年(2016年)3月27日、由利本荘市赤田地域の拠点施設「東光館」の駐車場スペースに「赤田ふれあいスーパー」がオープンしました。  スーパーができる前、赤田地域から最寄りの店舗は片道6km、車で行くにしても15分ほ...

買う

地域活動

お互いさまスーパー