史跡や信仰が根付く由利本荘市赤田地域の中で、町内会が残したいと願っているものの一つに、集落に点在する「赤田三十三観音霊場」があります。

 地域のシンボル、長谷寺(ちょうこくじ)を開いた是山(ぜさん)和尚が、天明7(1787)年に赤田で最も古い神社「熊野神社」を一番とし、赤田の各地に観音霊場を作ったのが赤田三十三観音めぐりの始まりと言われています。

 その後、西国巡礼をした赤田百部岡(ほどおか)の遠藤治平が三十三か所の土を持ち帰り、亀田領内に三十三か所、そして赤田の各所にも土を納めて三十三番までの札所が出来上がりました。

 これらの札所は家ごとや「講中」と呼ばれる数軒の集まりなどで小さなお堂をそれぞれ管理しています。その御本尊は「観音めぐり」とは言いますが、神像や明王、如来などを祀っているところもあります。 

 毎年9月1日と2日に、三十三観音めぐりが行われます。それぞれの札所の中で、管理者がおり、参拝できるお堂には旗が掲げられます。これを目安に赤田の集落を回り、観音めぐりを行います。標高600m近くある東光山にも札所があり、これに合わせて東光山の登山も地域の方々によって行われています。そこに祀られているお堂を改修する際は150人近い赤田地域の人々が2日がかりで木材を全て人力で担いで運んだそうです。意外にきつい登りですが、五合目の札所だけでなく、ほとんどの人が頂上を目指していきます。
 
 一方、集落内の札所では、それぞれを管理する方々がお堂に入り、参拝客を出迎えます。お堂の中では、手作りの料理を持ち寄り、みんなで食べながら参拝客を待ちます。赤田地域でも高齢化が進み、管理が難しい札所も出てきましたが、小さな地域の中に沢山の札所が集まる赤田を、皆さんも是非巡ってみてください。
 
平成23(2011)年4月掲載
令和4(2022)年1月更新

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