文禄3(1594)年、根井(ねぬい)正重は自らの名を寺号に冠して、現在の由利本荘市前ノ沢にある正重寺を開創しました。
正重の祖は、「平家物語」に登場する木曽義仲の家臣で、四天王の一人と称された根井幸親です。木曽義仲が源頼朝に敗れた後、根井氏は藤原秀衡を頼って奥州平泉に落ち延びました。その藤原氏も滅亡してしまうと、さらに今の秋田県へ逃れ、津雲出郷(つくもいずごう)という地名を矢島と変えて領したのです。
由利本荘市直根(ひたね)地域では、見張り場や砦として築かれた「根井館」が、7ヶ所も発見されています。「幸村」で有名な信州真田家は、もともとは根井氏と同根、滋野氏から分かれた一族です。
由利本荘市直根(ひたね)地域では、見張り場や砦として築かれた「根井館」が、7ヶ所も発見されています。「幸村」で有名な信州真田家は、もともとは根井氏と同根、滋野氏から分かれた一族です。
正重寺には、正重の奥方が所持していた薙刀の刀身や、「京都国際マンガミュージアム」に展示されている「火の鳥」の巨大木像を制作した仏師・須藤光昭さんの彫り物など、貴重な品々が保管されています。
境内の石碑は昭和28年、寄付金によって建立されたもの。江戸時代からこの地方で敬われている義民・“仁左衛門(にぜん)さま”と、悲劇的な運命を共にすることになった百姓たちとを供養しています。
平成22(2010)年4月掲載
■参考文献
『鳥海町史』
『仁左エ門さまの話』原田明美著
『仁左エ門さまの話』原田明美著
【正重寺アクセス】
●住所:秋田県由利本荘市鳥海町中直根前ノ沢108ー1
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