画像:安全寺の「戻りナマハゲ」

 男鹿市安全寺(あんぜんじ)地域に伝わるナマハゲ行事は、かつては1月16日に行われており、「戻りナマハゲ」と呼ばれていました。
 
 安全寺地域のナマハゲ行事が「戻りナマハゲ」と呼ばれる所以は、安全寺地域が御山(おやま:真山)のふもとに位置する地域だということが挙げられます。安全寺地域では「1月15日に御山から下りてきたナマハゲが、男鹿の各地域を回り、16日に御山へ戻る」と考えられ、「その帰りがけに安全寺地域に寄るのではないか」ということで、16日に行っていました。それが「戻りナマハゲ」と呼ぶ理由です。

 安全寺地域のナマハゲ行事は、ナマハゲのケデを編んだり、ナマハゲが休んだりする「宿(やど)」で神事を行うところから始まります。昔は年ごとに各家々が宿になっていましたが、今は安全寺地域の拠点「安全寺公民館」が宿になっています。まずはナマハゲの面に御神酒をふりかけて魂を込める「シン込め」を行い、その後、安全寺地域のナマハゲ6体が宿の前で四股を踏み、3体ずつ2組に分かれて各家々へ向かいます。
 
ナマハゲに関してのしきたりなどは口伝えで代々受け継がれています。中にはナマハゲは手を使うことは許されない、冷酒しか飲んではいけない、といったしきたりもあります。各家々に訪問した際、昔からナマハゲ行事に関わってきた方に教えてもらうこともあると言います。
 
かつての1月16日、地域の子供たちはナマハゲの動向を探ろうと、そわそわしながら宿の周辺をうろうろしていました。そして、ナマハゲが宿から出てくると一目散に逃げたしますが、あっという間に捕まって雪の上に投げられたと言います。
 
「怖いけど、見たい」。その気持ちが子供たちを駆り立てていたのでしょう。
今は家族が帰省する大晦日に合わせて行事が行われていますが、昔と変わらず安全寺地域の里山にはナマハゲの咆哮がこだまします。
 
平成29(2017)年3月掲載

【関連リンク】産地直送ブログ
男鹿市・安全寺地域のナマハゲ行事が大晦日に行われました!(2017年1月掲載)
 

こちらの記事もおすすめです

大漁祈願に御利益 安全寺の「アミダ様」

 男鹿市安全寺(あんぜんじ)地域にあるお寺「十王堂(じゅうおうどう)」には古くから仏様が祀られています。その仏様が祀られているお堂は「阿弥陀(あみだ)堂」と呼ばれ、中には阿弥陀様、観音様、地蔵大士様の三尊像が祀...

歴史

伝統行事・イベント

地域の歴史

伝統行事

安全寺里山保全会 会長(平成28年度~) 安田孝彦さん

     安田さんは安全寺自治会の会長を務めていた頃に里山保全会を立ち上げ、3年間、自治会と保全会の会長を兼任していました。  安全寺地域では安全寺小学校が昭和62(1987)年に閉校してから、地域の行事が少なくなり、長年続...

地域活動

がんばるムラ人

小豆まんま

  男鹿市の安全寺地域では、お赤飯のことを「小豆まんま」と言うようです。  その昔、田植えの初日に田んぼの水口(みなぐち)に「小豆まんま」をお供えし、田んぼの神様に豊作を祈ったと伝えられています。   田んぼの手...

郷土料理