まるで竜のように見える大ぶりの松。鵜川地域を通る国道7号沿い、八竜駐在所の隣に樹齢230年以上と推定される一本松を見ることができます。
2本の大枝の一本は、松の正面にあたる八郎潟方面に、もう一本は反対側の山側に向かって伸びており、その形が竜に似ていることから「一本松竜神」と呼ばれていました。水神として漁師は安全や豊漁を、農民は豊作を祈ったのに加え、日照りの時には雨乞いも行われました。
雨乞いは木彫りの竜頭に藁で編んだ竜体をつけ、この松の枝の分かれ目に乗せて雨乞い祈願を行い、その後八郎潟に放流していました。放流した途端「一天にわかにかき曇り、雷鳴と共に慈雨にめぐまれた」という言い伝えが残されています。
現在、雨乞い祈願は行われていませんが、木彫りの竜頭は鵜川地域の熊野神社に保管されています。一本松は、昭和45年(1970年)に八竜町(現三種町)の文化財指定を受けて保護されています。 

平成27(2015)年3月掲載

■参考文献
『八竜町郷土史 郷土の記憶 龍騰』
 

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