鵜川地域を走る国道7号沿いの八竜幼稚園の裏手にある参道を登ると、高台に熊野神社があります。鎮守の神様として鵜川地域を見守ってきました。
境内には1300年ほど前、時の大和政権から派遣された阿部比羅夫(あべのひらふ)が水軍を率いて蝦夷(えぞ)征伐に訪れた際、船をつないだという伝説が残るケヤキの大木がありました。幹の周囲が6メートルもあった巨木は「親木」と呼ばれ、昭和初期まで残っていましたが台風により倒壊してしまいました。
現在は、参道の左側に立つ「親木跡(おやぎあと)」という標柱が飛鳥時代の伝説を伝えています。また熊野神社には、一本松で雨乞い神事を行う際に用いられた木彫りの竜頭が所蔵されています。9月中旬には鵜川地域で五穀豊穣を祈願する祭典が開かれ、若者や子供たちが樽神輿を担いで集落を練り歩きます。
現在の熊野神社からは広大な田園風景を見渡すことができますが、阿部比羅夫が訪れた時代には、日本海と繋がった八郎潟が広がっていました。そんな古代ロマンを味わいに熊野神社を訪れてみてはいかがでしょうか。
平成27(2015)年3月掲載
■参考文献
『八竜町郷土史 郷土の記憶 龍騰』
『八竜町ウェブサイト』
『八竜町町勢要覧(平成6年5月発行)』
【関連リンク】産地直送ブログ
→三種町・鵜川集落の「熊野神社祭典」~宵宮・本宮~(2014年11月掲載)
こちらの記事もおすすめです
八郎様の石祠
八郎潟の周辺には「八郎太郎」を信仰する神社、石碑、石祠が数多く点在しています。八郎太郎は、秋田県の十和田湖、八郎潟、田沢湖にまつわる伝説が各地に残されており、十和田湖の主だった八郎太郎は南祖坊という修行僧との戦...
歴史
史跡
鳳来院(ほうらいいん)
鵜川地域を走る国道7号から県道212号に入り北上すると鳳来院が左側に見えてきます。 重厚な禅様式の本堂は、寛政8年(1796年)に再建されたものです。本堂の天井は、丸くくり抜いた「はめ込み天蓋」という貴重な様式で「八方睨...
歴史
神社・寺
鵜川の一本松
まるで竜のように見える大ぶりの松。鵜川地域を通る国道7号沿い、八竜駐在所の隣に樹齢230年以上と推定される一本松を見ることができます。 2本の大枝の一本は、松の正面にあたる八郎潟方面に、もう一本は反対側の山側に向かっ...
自然・施設
歴史
花・樹木
史跡