画像:萱刈沢貝塚遺跡

 三種町鵜川地域にある萱刈沢貝塚遺跡(かやかりざわかいづか)は、日本海沿岸に残る数少ない貝塚の1つで、縄文前期から中期の遺跡と考えられています。昭和48年(1973年)に秋田県文化財史跡に指定されました。

 ヤマトシジミをはじめとする貝類、フナやクロダイなどの魚類、ニホンジカやイノシシ、ノウサギ、カモの骨などが出土していることから、汽水湖であった八郎潟や背後の野山が暮らしに多様な恵みをもたらしていたことがわかります。

 遺物として、人の顔が表現された「顔面把手付土器(がんめんとってつきどき)」や骨角器、石器も多数出土しています。中でも男鹿半島加茂青砂で産出されたと見られる黒曜石で作られた石器類は、青森県の三内丸山遺跡からも出土しており、当時の交易圏の広さを物語っています。

 現在、萱刈沢集落には説明看板が設置されています。遺跡発掘当時の姿は残されていませんが、竪穴式住居跡、狩猟用の落とし穴と見られる遺構、食料品を貯蔵していたと推定されるフラスコ状ピット(穴)も発見され、埋葬された人骨や犬の骨も見つかりました。かなり大規模な集落を形成していたと推測されています。

平成27(2015)年3月掲載

■参考文献
『八竜町町勢要覧』
『現地説明看板』
『八竜町郷土史 郷土の記憶 龍騰』

こちらの記事もおすすめです

大山家住宅

 鵜川地域の北東部、飯塚集落には代々村役(村長)を務めた大山家の住宅が残されています。およそ270年前、江戸時代後期に建てられました。  主屋から馬屋を突出させたL字型の曲屋(まがりや)で、労働力として家族同様に大...

歴史

史跡

鵜川の一本松

 まるで竜のように見える大ぶりの松。鵜川地域を通る国道7号沿い、八竜駐在所の隣に樹齢230年以上と推定される一本松を見ることができます。 2本の大枝の一本は、松の正面にあたる八郎潟方面に、もう一本は反対側の山側に向か...

自然・施設

歴史

花・樹木

史跡

鳳来院(ほうらいいん)

 鵜川地域を走る国道7号から県道212号に入り北上すると鳳来院が左側に見えてきます。 重厚な禅様式の本堂は、寛政8年(1796年)に再建されたものです。本堂の天井は、丸くくり抜いた「はめ込み天蓋」という貴重な様式で「八方...

歴史

神社・寺