画像:権現の大銀杏(田中のイチョウ)

弘法大師の伝説残る「権現の大銀杏」

藤里町中通地域の田中集落には、昭和30年に秋田県指定天然記念物に指定された大樹、「権現の大銀杏」があります。この「権現の大銀杏」には、弘法大師の伝説が残されています。
あるとき、諸国修行中の弘法大師が、湯の沢の館を訪れ、岩の間から湧いている清水を汲んで昼食をとり、箸を地面に刺したままその場を立ち去りました。その二本の箸が、時を経て一本の樹に成長したのが、「権現の大銀杏」であると伝わっています。

 「権現の大銀杏」は、冬が近くなると、「ごぉっ」という音とともに一斉に落葉します。真夜中に、この落葉の様子を見てしまうと不幸が訪れるというジンクスがある一方、母乳の出が少ない母親が、大銀杏の気根を撫で、その撫でた手で自分の乳を触ると、母乳が出るようになった、という縁起の良い話が伝わっています。また、中通地域の農民は、落葉した後の様子から、農作物の作柄を占っていたこともあります。
昔から、住民のそばにあった「権現の大銀杏」は、今も住民のそばにあり、住民たちから親しまれています。

令和元(2019)年12月掲載

■参考文献
現地説明看板『権現の大イチョウ』

こちらの記事もおすすめです

中通の「そば打ち体験」

 藤里町中通地域で行われている「そば打ち体験」は、冬期間に住民が集まって交流する機会を作ろうと、「中通地区活性化推進協議会」が平成27(2015)年に企画した行事です。 初めの2年間は、藤里町粕毛地域から、そば打ちの講...

地域活動

世代間交流

峨瓏(がろう)の滝

 藤里町中通(なかどおり)地域の滝の沢集落にある「峨瓏大滝親水公園」に、落差12メートルの「峨瓏の滝」があります。滝の上流にある「峨瓏峡」から流れ落ちることから名付けられました。 享和2(1802)年に、江戸時代の紀行...

自然・施設

銚子の滝

 藤里町中通(なかどおり)地域の滝の沢集落には、落差18メートルの「銚子(ちょうし)の滝」があります。 滝つぼの形が徳利(とっくり)に似ており、滝つぼに落ちる滝の様子が、徳利に酒を注いでいるように見えることから「銚...

自然・施設