画像:前山郷土芸能

前山地域に伝わる郷土芸能 

 北秋田市前山地域には、250年以上前から踊り継がれてきた「前山郷土芸能」が伝承されています。
「前山郷土芸能」は、約250年前、米代川の氾濫により村を移った際に、前山地域の鎮守である「雷皇(らいこう)神社」に豊作と厄除けを祈願するため芸能を披露したことが起源とされています。踊りは「大名行列」、「獅子踊り」、「奴踊り」、「雑魚(じゃこ)釣り舞」の4演目で構成され、江戸時代に佐竹氏が常陸国(ひたちのくに:現在の茨城県)から秋田へ国替えになった時の様子を踊りにしたものといわれています。
 
「奴踊り」は15種類ほどありましたが、現在は7種類の踊りが継承されています。赤い襦袢に化粧まわしを身につけ、扇子や棒を持って踊る、なめらかで力強い踊りです。
 
「雑魚釣り舞」は前山地域で作ったとされる珍しい舞です。コミカルな動きと軽快なお囃子が特徴で、兄弟は雑魚を釣るために試行錯誤し、舞の最後には大物を釣り上げます。
昔、雑魚釣りが三度の飯より好きだという兄弟がおり、兄弟は毎日雑魚釣りを楽しんでいました。ある日、役人が来て、殿様に雑魚を献上するようにとの御沙汰があり、兄弟は余興として雑魚を釣る様子を舞に見立てて殿様に献上したと伝わっています。
 
前山郷土芸能は、平成20年(2008年)に「第59回全国植樹祭」へ出演した際に、天皇・皇后両陛下の前で披露され、平成25年(2013年)6月には「北秋田市無形民俗文化財」に指定されました。
数年前から人手不足のため休演している演目もありますが、「前山郷土芸能保存会」では復活のため継承活動に力を入れています。
以前は小学生と大人のみで継承していましたが、郷土芸能への愛着心が途切れることの無いよう、10数年前から中高生にも行事などでの踊りの披露に参加してもらうようになりました。
毎年、8月13日に雷皇神社へ奴踊りと雑魚釣り舞を奉納しており、帰省した大学生や社会人も踊りの奉納に参加しています。
 
平成27(2015)年3月掲載

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