
お寺に伝わる「杢之助系図書写並記録」などによれば、岩城館主・佐藤出羽守源綱善が戦国時代の弘治3(1557)年、安東愛季(ちかすえ)に攻められ、名を杢之助(もくのすけ)と改めて仏門に入り、当時の上虻川(昭和町)の長福寺で仏道を修めました。永禄8(1565)年に隠棲(いんせい)した「龍梅庵」が前身とされています。
寛文3(1663)年、是道道心(ぜどうどうしん)の代に曹洞宗寺院「梅林寺」に改められ、杢之助末裔の道心の管理から離れることになります。
しかし、貞亮2(1685)年の到巖宗達大和尚遷化後、再び杢之助一族道心が梅林寺に住し、是道道心より4代後の久意道心(くいどうしん)が環俗して農業につく延享2(1745)年までの60年間、梅林寺は道心の管轄するところとなり、これが村人から「杢之助の一人寺」と呼ばれる要因となりました。
その後、世に名僧の誉れ高い補陀寺25世徳善民道(とくぜんみんどう)大和尚によって、梅林寺の新しい伽藍が建てられました。これまで一度も火災に遭遇したことのない珍しいお寺です。
寺宝の本尊「釈迦牟尼仏『釈迦如来像』」は、享保4(1719)年銘で、ほかにも釈迦如来坐像2体、阿弥陀如来立像1体、文殊如来坐像1体、不動金剛明王1体、普賢菩薩像1体の6体すべて修理され、お寺を守っています。また、開山以来の過去帳(帖)や、宝暦年代改築の棟札などを所蔵しています。

令和6(2024)年10月掲載
■参考文献
秋田市上新城地区振興会/編 『伝え語り:上新城之物語』
秋田市上新城地区振興会/編 『伝え語り:上新城之物語』
■記事執筆協力
秋田市農山村活性化センター「さとぴあ」
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