安土桃山の時代(1576~1600年)に上新城湯ノ里にあった天台宗の寺院を、 量外正寿(りょうがいしょうじゅ)が臨済宗妙心寺派の寺院として改宗開山され、その後、大悲寺三世奇峰玄高の法嗣(師の教えを受け継いだ人)・竹峰玄俊を迎えて寺門を一新しました。
本尊の「聖観世音菩薩」は室町時代の作で、開山・量外正寿が背負ってきたものと伝えられています。
その頃の昌東院は白山旭台にあり、白山鉱山と深く関わっていましたが、鉱山衰退とともに、伝法の祖となった大悲寺六世・益州東請の法嗣・大心唯一の弟子・十一世古海是法(こかいぜほう)により現在の上新城小又(おまた)に移建されました。
菅江真澄が「禅林なりぬ」と書いた当時(文化14⦅1817⦆年)の住職は、十五世敬巖智篤の時でありました。
昌東院は、昭和44年正月に火災消失しましたが、数年後に再建されました。開山当時の本尊(聖観世音菩薩)と十王仏や、旭台から移築してきた鉱山時代の地蔵菩薩等は消失を免れています。
本堂前には、二十二世禅月辻大円の設計による枯山水の石庭があり、中庭から眺める境内の裏山は、秋田市の保存樹に指定されており、自生藪椿500本と隣接する、秋の紅葉が得も言われぬ美しさを描き出しています。
令和6(2024)年10月掲載
令和6(2024)年10月掲載
■参考文献
秋田市上新城地区振興会/編 『伝え語り:上新城之物語』
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