羽後町の堀回地域で行われている「元城(もとき)門松かまくら展」は、地域の小正月行事をテーマにしたお祭りです。地域で伝わるさまざまな小正月行事やかまくら遊びなどを再現することにより、伝統を子どもたちの世代へと伝えることが目的で、元城門松かまくら展保存会が主催していました。
    しかし、保存会会員の高齢化が進み人手が足りず、存続が難しくなってきていました。そこで、堀回コミュニティ推進委員会が地域全体で引き継ごうと平成25(2013)年から新たに綱引き合戦を加えた「元城雪まつり」として行うことになりました。
お祭りの内容はたいへんに盛りだくさん。子どもたちの歓声が途切れることがありません。
     雪まつりの会場に入ると、まず目に飛び込んでくるのは、内部の四角いかまくらや、かや葺き屋根をのせたものなど、一風変わったかまくらがつくられています。柴を何本も立てた門松もあります。
   こうしたかまくらや門松の起源は戦国時代までさかのぼると伝えられます。堀回地域一帯が小野寺領だったころ、南から最上勢が攻め込んだ際に、女や子どもたちを避難させるためかまくらが作られたとされます。一方、門松のほうは、敵に攻め込まれたときに横倒しにして敵兵の侵入を防ぐために作られたとのこと。今日も小野寺氏支配の頃の遺風を慕う堀回の皆さんは、400年前の苦難の歴史を語り継いでいます。

     日が落ちると、子どもたちが灯ろうを手に手に“かなめぐり”を唱えながら集落を練り歩く「用心めぐり」が行われ、元気な子どもたちの掛け声が集落に響き渡ります。用心めぐりが終わると、どんど焼きやほっぴぎ(福引き)、みかんまきが行われ、最後まで子どもたちの笑い声が絶えません。地域の元気は子どもたちの笑顔! と思わずにはいられないお祭りです。
 

平成23(2011)年2月掲載
令和4(2022)年12月更新

   

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