大館市の大葛金山太鼓は、その名の通り金山から生まれた伝統芸能です。かつては大葛地域の金山集落の住民によって演奏されていましたが、現在は大葛金山民俗芸能保存会によって継承されています。

 先祖供養のための太鼓は、まず金山墓地での演奏、そして神社への奉納演奏から始まります。やがて、大葛温泉付近の家々をまわり、最後は旧大葛小学校グラウンドで行われる夏祭り会場での披露となります。

 元々は盆踊り用の曲だったたようですが、現在は一曲のみが伝承されています。
鉱夫たちの有り余る腕力を使い、集落の近くにまで迫ってくる山々に響かせるために、強く、大きな音が求められていきました。
そうした中で、太鼓も独自の進化を遂げていきます。太鼓の大きさは県北地域の他の太鼓とそう変わらない直径(約1m10cm)です。一見したところ他の地域との違いはなさそうにも見えます。

  秘密はバチと皮、バチは他の地域のような柳ではなく、硬く太いクルミの枝を使って作られます。それでも力に負けて折れてしまうこともあるのです。そうした強力な打撃を受けとめる太鼓の皮は、丈夫な牛の皮を使用しています。

  こうしてより大きな音が出るようになった太鼓は、金山の山々に響き渡り、木霊が一体となって独特の音をとどろかせます。「山に響かなければ金山太鼓ではない」と地元の人は言います。

  他にはないこの金山太鼓も、一時期消滅の危機に瀕していました。鉱山の閉山です。5年以上の中断を越えて太鼓が復活したきっかけは、金山集落の隣の二又集落が結成した青年団です。大葛金山民俗芸能保存会の手によって、金山の人たちから伝承した太鼓の技は復活し、現在まで受け継がれていきます。

 平成23(2011)年現在、再開して既に35年以上、新たな伝統として着実に歴史を刻んでいます。

平成23(2011)年4月掲載

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