8月13日の夜、色とりどりの絵が描かれた灯篭の灯りが、大館市中野地域の夜空を彩り始めます。伝統行事「中野七夕」は、無病息災、五穀豊穣を祈り、先祖供養の迎え盆行事として、中野地域に伝えられてきました。
中野七夕は戦国時代、比内一帯を治めていた浅利勝頼が中野城を築いた16世紀後半ごろから始まったと言われています。太鼓の音を打ち鳴らしながら、一行が地域内を練り歩きます。中野七夕は昭和10年代に一度途絶えましたが、地元の若者たちにより昭和52年に復活し、その後、現在の中野七夕保存会が活動を継承し、現在まで伝えられてきました。
秋田市の竿灯と外見が似ていますが、提灯ではなく灯篭を使用しています。四角い木枠で型どった絵灯篭は全国的にも珍しく、「町内安全」「火の用心」「家内安全」という文字と一緒に、さまざまな絵柄が描かれています。
中野七夕のもう一つの特徴が、太鼓をたたく時に使う、しなりの効いた長いバチです。曲線を描くようなバチで、太鼓の音を奏でると、賑やかな音に惹かれた人々が、地域のメインストリートに集まってきます。お盆の夜、故郷に戻ってくるご先祖様も、賑やかな中野七夕を見れば、喜んでいるに違いありません。
平成23(2011)年4月掲載
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