画像:彼岸花づくりの歴史

 大館市中野地域では、毎年1月から2月にかけて「彼岸花」づくりが行われていました。かつて、雪深い県北地区では春彼岸の時期、墓前に供えるための生花が手に入らなかったため、彼岸花を造花で作ったといいます。中野で彼岸花作りが始まったのは昭和60年(1985)頃と言われ、地元老人クラブ「三岳老寿会」の有志が中心となり制作していました。

 中野の彼岸花は、ドロノキという木を主な原料に製造されています。花弁、茎、葉などの部品を薄く削りだして赤、オレンジ、黄色、紫、ピンクの五色の染料に漬けて、色づけを行います。 
この彼岸花づくりは、住民たちの交流の場ともなっていて、丹精込めて作った「彼岸花」は、お彼岸の時期になると県北地区のスーパーや道の駅などの店頭を、鮮やかな色彩で彩りました。

 作り手の高齢化により、現在、彼岸花づくりは行われていませんが、中野で作られていた彼岸花は地域の思い出の場の一つとなっています。

平成23(2011)年4月掲載

こちらの記事もおすすめです

泣きっ面山

 大館市中野地域の南部、標高1,050メートルの名峰竜ヶ森のふもとにあるのが中野の名所「泣きっ面山」です。「泣きっ面山」については、中野地区に伝わる八郎太郎にまつわるヒナイノ民話・達子森ノ伝説があるのでご紹介します。...

自然・施設

歴史

ビューポイント

地域の歴史

「雪中田植え」と「なしっこ」

 大館市中野地域に伝わる小正月行事が雪中田植えです。この行事は、地域住民の親睦を図るため、中野や五日市などの町内会が合同で参加する「三岳地区まちづくり協議会」によって、毎年2月11日の勤労感謝の日に行われています。...

伝統行事・イベント

小正月行事

かすべ煮

 昔から、北海道や東北地方では、味に少々癖のある魚である「エイ」を上手に料理して食べる伝統があります。特に、エイの干物は「かすべ」と呼ばれ、冷蔵庫がまだ普及していない時代は、保存のきく海産物としてたいへん重宝さ...

郷土料理