横手市三又(みつまた)地域の「麓友会(ろくゆうかい)」の歴史は長く、明治に設立された「三又麓友会」が前身となっています。
「麓友」とは、明治期にこの地を訪れた農業指導者・石川理紀之助が、山村に暮らす人々を表して贈った言葉です。理紀之助翁にあやかり、楽しく豊かな生活を送りたいという希望の象徴として掲げられました。
現在の麓友会立ち上げに深く関わった故・下タ村基作さんは、「三又建設」を経営し、地元に雇用を生んだ功労者として知られています。下タ村さんは、昭和61(1986)年に麓友会を発足させましたが、会員はわずか数名、自他ともに認める「物好きの集団」だったと言います。
下タ村さんは地域おこしに熱心で、斬新なアイディアを次々と生み出す名物社長として住民に慕われていました。進取の気概に満ち、住民のために奔走した基作さんの遺風は、麓友会に引き継がれ、理念のようなものになっています。
昭和63(1988)年には、集落財産区の杉を売って費用をまかない「麓友館」を完成させます。設計から工事までを住民が協力し合った手作りの施設で、冬期間の憩いの場として人が集まるようになったことで、村おこしについても話し合われる場にもなり、現在は地域の集落会館としても使用されています。
麓友会は「遊水の里」として石積みの自然工法を用いて横手川の支流周辺を整備し、帰省する子供たちや観光客と住民とが交流できるよう、8月のお盆に渓流まつりを開催しています。
「麓友会」の歩みは、常に「結い制度」の実践でした。結いとは、力を合わせ、助け合う精神のことで、今でも三又に留められています。
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