横手市戸波(となみ)地域は、横手市増田町の西南部、湯沢市と横手市の境目に位置します。地域の歴史は江戸時代の元禄期からと言われ、旧増田町より古いと言われています。
戸波自治会となったのは平成に入ってからです。それ以前は「戸波郷中(ごうちゅう)」という名で地域の運営を行っていました。自治会のほか、青年会の役割を持つ「農友会」(20~45歳の地域の男性で組織)、老人クラブ、小中学校のPTA、「戸波芸能保存会」といった組織が活動しています。
特筆すべき点は、明治時代からの自治会資料が豊富に残されていることです。明治期の住民総会の議事録や地租改正の記録が、郷倉(ごうそう)と呼ばれる地域共同で米を蓄えておく倉に残されています。
平成20年(2008年)には、10~20年後の地域を考えていくために、住民が集まってワークショップ(国土交通省主催)を3回行いました。人口減少、高齢化が進む地域を対象に全国から20地区(市町村)選定し、日常生活に関するアンケート調査と地域の課題解決に向けた将来構想や行動計画づくりを行ったものです。
3回のワークショップ後に行った住民のアンケート結果からは、自分たちが抱える地域の課題を住民が共有できました。普段意見を交わす機会の少ない世代間の交流の場にも繋がり、住民自らが望む地域づくりを考える場にもなりました。
住民の多くは農家ですが、戸波は「ケラ」作りの産地として知られていました。「スゴモ」と呼ばれる海草や、「ミゲ」という野生のしげ草で作られた雨具で、最盛期は3万枚も生産されたと言います。この他「ぎおんばやし」「きつねばやし」の伝統芸能や、本宮(もとみや)、山神様、三吉(さんきち)様、明神様、地蔵堂といった古くからの神仏の信仰も受け継がれています。
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