秋田杉の伝統を伝える巨木の森
仙北市の旧田沢中学校の裏手に「千葉家家伝林」と書かれた看板があります。ここは秋田県内でも数少ない江戸時代の植林を今に伝える貴重な林です。
江戸時代、千葉家の二代目当主、千葉重蔵(明和4年(1766年)年~安政元年(1850年)年)は、久保田藩(秋田藩)木山方に仕え、田沢村(現在の仙北市田沢湖)の御山守として藩の山を管理する役目を負っていました。
重蔵は藩山を管理するとともに、藩の奨励する杉植林も行っていきます。文化6年(1809年)年~文政10年(1827年)年の間に209,000本余りの苗木を作り、住民たちにも配り歩いて植林を奨めました。その功績により、藩から扶持(いまの給料)を加増されたと記録に残っています。
千葉家では当時15ha(こまちスタジアムのグランド部分10個分!)ほどを植林し、現在も樹齢100~200年以上の木々が約2.2ha残されています。民間植栽林として貴重な林で、見学できるように遊歩道が整備されています。
数百mほど奥に入ると天まで伸びるほどの巨木たちが出迎えてくれます。その迫力は実際に行った人でないと味わえません。
その中でもひときわ大きかった杉は、伐採の後も切り株がきちんと屋根をかけて保存されています。奥には、切り倒された後の切り株が残っていますので樹齢何年ごろ切り倒されたのか、気合と時間のある方は、年輪を数えてみるのもいかがでしょうか!?
また、昔からこの林を、旧田沢中学校の子どもたちはクロスカントリースキーの練習で走り回ったそうです。夏場も子どもたちの格好の遊び場となっており、ガキ大将が巨大な杉の木に登ったという「伝説」もあるそうでます。
江戸時代から今まで、風雪に耐え、子どもたちを見守った林は、今も千葉家九代目、茂樹さんの手によって守られています。
平成24(2012)年2月掲載
■参考文献
『ふるさと探検隊配布資料』
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