古い武家屋敷が立ち並ぶ「みちのくの小京都」こと仙北市の角館。そこから車で15分の場所に、角館より古いといわれる城下町の歴史を残す仙北市白岩(しらいわ)地域があります。
「此白岩もいといと古き処也」と白岩の名を記したのは江戸時代の紀行家・菅江真澄です。著書「月の出羽根路 仙北郡」には白岩城主が統治した歴史を記述しています。
真澄の記述にもある白岩氏は、地元の豪族下田氏が通称で呼ばれるようになったものと言われます。仙北一帯を治めた戸沢氏の傘下となり、白岩は戸沢領となります。戸沢氏は由利本荘市鳥海地域を治めた根井正重の娘を嫁にめとっており、当時の秋田県内の豪族たちが密接に関わっていたことがうかがえます
白岩地域は白岩街道に沿って整理された町の作りを残しています。「本町通り」と呼ばれる通りは、武士が多く住まいを持っていたのに対し、職人長屋と言われる「前郷通り」は商人や農民などが暮らしていました。今でも各家々には当時の「屋号」が残されています。
江戸時代中期に豊富な陶土が発見された白岩は、白岩焼と呼ばれる陶器の生産地となりました。松本運七という相馬(福島県)出身の陶工が生み出した白岩焼は、秋田藩主佐竹氏の支援もあり、明治29(1896)年の陸羽地震で大きな被害を受けるまで、白岩の一大基幹産業として地域を支えました。佐竹氏に献上した白岩焼も残っており、武士の町だった白岩は職人長屋がのきを連ねたと言います。
令和4(2022)年3月更新
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