-真澄が記した、静かに余目の昔を語る山-
大仙市余目地域のほぼ真ん中に、ぽこん、とお椀を伏せたような山があります。高寺山、と呼ばれるその名の通り、その昔は、高寺山福王寺に千手観音が安置され、菅江真澄が「月の出羽路仙北郡」に観音堂のスケッチを残しています。
ふもとの参道入り口には菅江真澄の残した高寺山についての看板と、高寺山城址としての解説の看板があります。看板によると、菅江真澄は義家朝臣がこの高寺山の大杉に陣幕を張ったと書き記しています。
もうひとつの看板は、戦国期に築かれた高寺山城についてのものです。
戦国時代には難波平治満友が200人ほどの家来を連れて、高寺山城を作ったと言われています。
しかし、疫病が流行し家臣は半減したため、由利地方に落ちのび、高寺山城は廃城になってしまいます。山中には当時の家臣の屋敷跡や、空壕馬場跡、家臣が登城の際馬の鞍を置いたと言われる、馬の鞍沢などが残っています。
現在、山の頂上付近には今も「高寺山神社」が祀られています。苔むした参道はきれいに整備され、途中、立派な鳥居や巨木の数々を目にすることができます。そして、社殿にたどり着くと、源義家が陣幕を掛けたと伝わる大杉、見事な彫刻が施された社殿。それらが深い森の中に静かにたたずんでいます。
社殿の彫刻は、山形の宮大工によるものと伝わりますが、残念ながら名前は分からないのだそうです。
高寺山は、今も静かに余目を見守っています。
平成22(2010)年8月掲載
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