船絵馬とは航海の安全や豊漁を祈願して社殿に奉納した絵馬のことです。本来は神の乗り物「生き馬」を寄進するのですが、高価な馬を用意するのは難しく、代わりに馬の絵を奉納したのが始まりと考えられています。
明治の中頃までは航海技術が未発達で、舟の板子一枚の下は死と紙一重の世界でした。当時の船主や船頭は神仏にすがり船絵馬を奉納しました。航海の安全を祈願する絵馬の内容も、馬ではなく船の絵が描かれるようになります。
秋田県の中でも、にかほ市や由利本荘市の沿岸部の地区には船絵馬が多く残っており、200点あまりが現存します。その半分は象潟地区の船絵馬で、下荒屋地域の古四王神社には、最も多い37点が奉納されています。また同地域の戸隠神社には、安永9年(1780年)に奉納された県内最古の船絵馬が残されています。杉板に「永久丸」という北前船を描いたもので、裏側に「安永9年4月吉日 石橋屋権三郎」と記されています。
当時の人々の願いが込められている船絵馬が、下荒屋地域に今も多く残されています。
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