-稲作と共に歩む一年-
大館市立花地域の旧国道沿いに立花神眀社があります。立派な社殿は、明治時代にこの旧国道を天皇陛下がお通りになるということで造り変えられたのではないかと言われています。
社殿の中の額を見ると神「眀」社とあり、ちょっと不思議な感じがします。昔からこの額でこの名前だったそうで、古い中国の文献などから漢字を取ったのではないかと地元の方は話していました。また、社殿の隣には大きな「わらじ」が奉納されたもう一つの社がありますが、こちらには馬の木像が納められており、このわらじは、馬の物なんだそうです。昔は牛馬が貴重な農耕の友だったので、こうした木像が納められたといわれています。
神眀社では、三つのお祭りが行われています。
2月17日の「祈年祭」、5月1日の「春祭り」、そして収穫後に行われる「新嘗祭」。これらを指して「立花三大祭り」と言います。
伊勢神宮の祈年祭に合わせて行われる、2月17日の「祈年祭」。この日が立花の「正月」だと言います。その言葉の通り、各家庭に飾られている御幣は、この日新しいものが配られ、とりかえられます。
かつてはこの日に各家庭の種もみが配られ、農作業の始まりの日でした。また、神事の後に厄年の人たちが「厄払い」を受けるのもこの日。他の地域では同窓会などで行うこともありますが、立花のみなさんはここで厄払いを受け、記念写真を神社に奉納します。社殿の中には、古くからの写真が飾られていて、白黒写真が伝統を感じさせます。
そして5月1日の「春祭り」、豊作を祈願して田植え前に行われます。
五穀豊穣を祈り、いよいよ農作業が本格的に始まります。
最後に収穫が終わった後に行われることになっている「新嘗祭」。今年の収穫を感謝し、来年の豊作を願います。
昔は田んぼがすべてだったと言います。田んぼのサイクルで動いていたその名残が、お祭りのサイクルとして今も立花に残っています。
平成24(2012)年5月掲載
こちらの記事もおすすめです
小林多喜二出生地の石碑
大館市川口地域の下川沿駅そばに、戦前のプロレタリア文学を代表する作家、小林多喜二の石碑があります。多喜二は、明治36(1903)年、旧下川沿村(現在の大館市下川沿)に生まれ、4歳の時に北海道の小樽市に移住しました。 ...
歴史
史跡
かたでご(大館地大根)
11月初旬頃、大館市立花地域の家々の軒先に長さ20㎝ほどの薄紫色の大根が干され始めます。 住民の皆さんが「かたでご」「かた大根」と呼ぶこの大根は、地元に昔から伝わってきた「地大根」で、普通の大根より硬く、短いの...
食
野菜・果物
田の中公園
大館市立花地域には、60ヘクタール(平成23年現在)の広大な田畑が広がり「田の中公園」と名付けられています。 田んぼのあぜ道には、ブラックベリー、エキナセア、ハマナスなどが植えられ、四季に沿って様々な花々が見ら...
自然・施設
体験施設