松川餅は由利本荘市鳥海地区で作られている郷土菓子で、お餅に松の皮の繊維が練りこまれている大福餅です。
豪雪地帯である由利本荘市笹子(じねご)地域では、昔から作物の収量が安定せず、米の代わりに食べられる物を工夫してきました。田畑の作物だけでなく、自生する山菜や動物も貴重な食料源でした。
中でも松の皮を練りこんだ「松皮餅」は、松の皮でさえ食べ物としなければならなかった当時の苦労がしのばれます。松皮餅作りでもっとも大変なのは松皮の下ごしらえです。食べられる状態にするにはたいへんな時間と根気が必要です。皮の内側の繊維のみを使用するため、皮が真っ黒くなるまで数時間から数日間煮込み、アクをとりながら皮の外側をはぎ取ります。はぎ取った繊維を棒で叩いて細かくし、つきあがった餅に混ぜてあんこを包んだら完成です。甘さは控えめで松皮があんこの味を邪魔することもありません。
お祝いでお供えものとして作られている、よもぎ餅の緑はめでたさを表し、松川餅の松の木は長寿を表すため、ひな祭りには白餅、よもぎ餅、松皮餅と一緒に三色の菱餅として作られてきました。
「松皮餅」は笹子地域内にある道の駅でお求めいただけます。ホームページを通じた通信販売も行っていますので、お取り寄せも可能です。
平成22(2010)年12月掲載
●住所:秋田県由利本荘市鳥海町上笹子字堺台100
●電話:0184-59-2022
●営業時間:直売所 8:30~18:00 (12/16~4/15迄 閉店16:00)
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