「さなぶり」とは、広辞苑によると、「田植えを終えた祝い」。日本語大辞典では「田植えの終わりに田の神を送る行事」ともあります。
農家が多い秋田県では、昔から田植え作業が一段落する6月に田植えの慰労や豊作祈願を込め、「さなぶり」を行う風習があります。
昔は男鹿中地域のどの集落でも田植え後の「さなぶり」を行っていました。そのなかの一つ、三ツ森集落では、「さなぶり」と稲刈り前の「作休み」を行っていました。
「作休み」は、稲刈り前に体力を備えるためのお休みの行事で、そのまま字の通り、「耕作を休むこと」になりますが、稲作が全て手作業だった時代に小作人が体力を要する稲刈り前に、地主に「体を休ませてほしい」とお願いし、休みをもらったのが由来とされています。
「さなぶり」や「作休み」で食す料理は、お祝いや仏事の際に必ず作った「あんぷらにしめ」の他、「小豆飯(あずきめし)」、「ぼた餅」や「まま漬け」など、お母さんたちがこの日のために手作りしたと言います。各家々で料理の内容は異なると思いますが、三ツ森集落の昔から伝わる風習です。
令和2(2020)年8月 掲載
こちらの記事もおすすめです
火山の箱庭「寒風山」
男鹿中地域の東に鎮座する「寒風山」。標高354.8m、回転展望台からの360度の眺望や、パラグライダー体験などもできる男鹿市内で有数の人気観光スポットです。寒風山は地層観察に適したジオサイトの一つとして知られており、...
自然・施設
ビューポイント
三ッ森窯跡
男鹿の貴重な窯跡 男鹿中地域にある三ッ森(みつもり)集落の三ッ森会館から、滝川を挟んで対岸にあるのが三ッ森窯跡です。三ッ森窯跡は男鹿市内における数少ない貴重な窯跡です。 江戸時代末期と推定される窯跡で、陶...
歴史
史跡
あんぷらにしめ
男鹿中地域の三ツ森集落で、お祝いや仏事の際には必ず作ったという「あんぷらにしめ」。 身欠きニシン、椎茸、こんにゃく、フキ、じゃがいもを使った煮付け料理です。「あんぷら」とは、男鹿では「じゃがいも」のことを言...
食
郷土料理