琴川の近く、安田(あんでん)海岸には古く貴重な地層が露出する場所があります。地質学的な価値が高いため、時折学生たちが調査のために訪れるほか、化石を探す子どもたちの姿を見かけることもあります。
集落としての琴川は、近世以前からあったと思われ、地域の方の伝承によると、琴川と安田の境付近にある「木曽」という辺りが琴川発祥の地と言われています。
正保4年(1647)に作成された正保国絵図には、39か村に分かれた男鹿の村々が描かれています。その中に「琴川村」の記述も見ることができ、石高215石とされています。その後、秋田藩はいくつかの村々を束ね、代表の村(親郷)を指定して効率的な支配を目指します。寛政六年の『六郡総高村附帳』によると、琴川村は鮪川村を親郷とする村々に組み込まれているのがわかります。
菅江真澄は琴川を訪れ、林の中にある集落であること、小高い場所から見下ろした時の山あいの桜が面白いと伝えています。また、琴川発祥の地と言われる木曽を訪れた時は和歌を残してもいます。真澄がこの地域を遊覧したことについて、琴川入り口と、安田近くの国道沿いの2か所に標柱が立てられており、その足跡を偲ぶことができます。
また、江戸時代に、琴川地域に伝わるすげ笠は、加賀国(現在の石川県)から北前船(日本海沿岸~大阪を巡る船たち)が伝えたと言われており、男鹿市の無形民俗文化財となっています。
■参考文献
『男鹿市史』
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