画像:琴川のすげ笠

 明治から昭和にかけて、琴川は男鹿半島唯一のすげ笠の産地でした。平成13(2001)年には「琴川のすげ笠」として男鹿市の無形文化財に指定されています。

 琴川のすげ笠は集落内に自生しているすげを使用しています。すげを刈り取り、3日間の天日干し、選別、竹枠作り、笠縫という工程を、手作業で進めていきます。すげ笠を一個作るために約120本程度のすげが必要となりますが、材料が豊富だったため、農家にとり貴重な現金収入を得られる副業として近年まで生産されてきました。

 琴川のすげ笠の始まりは、北前船の交易文化によって加賀の国(現在の石川県)から伝えられたと言います。大正時代、その技法は門外不出とされ、嫁入り先でもこの技法の伝授は固く禁じられていたそうです。すげ笠を作る農閑期になると、近所の女性達が数人で集まり、雑談をしながら終日縫い続け、出来あがった笠は農作業を始め屋外作業の雨具や日よけとして、多くの人から愛されてきました。

 平成9(1997)年、琴川の高齢者を中心に、すげ笠づくり伝承同好会が設立されました。メンバーの高齢化により活動が停止しましたが、平成22(2010)~平成23(2011)年、地域内外の若者たちによって「琴川すげ笠伝承塾」が開催され、すげ笠の技術を学ぶ活動も行われました。


平成23(2011)年4月掲載
令和4(2022)6月更新

 

こちらの記事もおすすめです

琴川の歴史

 琴川の近く、安田(あんでん)海岸には古く貴重な地層が露出する場所があります。地質学的な価値が高いため、時折学生たちが調査のために訪れるほか、化石を探す子どもたちの姿を見かけることもあります。  集落としての琴...

歴史

地域の歴史

安田海岸と鮪川層

 男鹿半島というのは観光資源豊かな場所としても知られますが、地質学の世界ではきわめて貴重な地域とされ、国内外から研究者や学生が多く訪れる場所でもあります。  ここ安田海岸(あんでんかいがん)は五里合地域の北にあ...

自然・施設

歴史

ビューポイント

その他

こおひい工房 珈音(かのん)

「珈琲」の香りと「音楽」の調べに包まれる癒しの空間  男鹿半島の北、五里合(いりあい)地区を貫く国道101号線は、どこまでも続く日本海の砂浜や起伏に富んだ砂丘など、美しい景観が続く快適なドライブコースです。その国道...

買う

食堂・飲食店