男鹿市加茂青砂(かもあおさ)への入り口は急な坂道になっていますが、その坂の途中、墓地のあたりに、阿弥陀如来像が彫られた小さな石仏龕(せきぶつがん)が置かれています。
石仏龕は、四角い石の板に仏像などを浮き彫りにし、石の屋根を載せたもので、加茂青砂のものは鎌倉時代末期に作られたとされ、男鹿市の指定文化財となっています。
男鹿市教育委員会の説明看板によると、この石仏龕はアノソクレース流紋岩で作られており、石室の加工、阿弥陀如来像の厚肉彫には高度な石工技術が認められています。アノソクレース流紋岩の産出地は日本に10ヶ所ほどありますが、県内では加茂青砂が唯一の産地となっています。
この石材を用いた石造物の伝播には男鹿半島を支配していた安東氏が背景にあるとされ、日本海沿岸の文化交流を示す遺物としても貴重なものです。
平成22(2010)年8月掲載
こちらの記事もおすすめです
延命地蔵
かつて男鹿市加茂青砂(かもあおさ)地域は、加茂村と青砂村に分かれていました。「享保黒印高帳」によると、享保12年(1727)、加茂村は19軒、青砂村には11件の家があり、陸地の交通手段であったであろう馬は20頭居たと記されて...
歴史
史跡
天然のクルマエビ
夏の加茂青砂の近海は、全長20cmをゆうに超すクルマエビの漁場となっています。 このクルマエビ漁の取材に協力して下さったのは、船に乗って50年という大ベテランの漁師、菅原繁喜さん。早朝4時、目前の海と背後の山々...
食
その他
漁師が愛したヤマザクラ
晩春の頃、秋田市より一週間ほど遅れますが、漁村・加茂青砂の背後に立つ山々も淡いピンク色に彩られます。 加茂青砂を彩る桜の多くは、ヤマザクラです。加茂青砂のヤマザクラは山々だけではなく、漁師たちの目を桜色で楽...
自然・施設
花・樹木