男鹿市の中では加茂青砂(かもあおさ)地域のみで作られている「こだし」は、加茂青砂で「トジナ」と呼ぶ「アオツヅラフジ」という植物のツルを使って作るカゴのことを言います。
加茂青砂でこだし作りを受け継いでいるのは3名のみ。担い手は少なくなってきていますが、平成23(2011)年5月に行われたイベント「かもあおさ笑楽校」で、こだし作りを体験することができました。
講師を務めるのは住民の大友フサさん。
こだし作りは当初、男鹿市の五里合から嫁いできたフサさんの母親がこだしの作り方を知っており、それから加茂青砂で作られるようになりました。こだしの材料のトジナは水をよく弾き丈夫なため、海辺の作業でも重宝する入れ物です。フサさんは、母親が亡くなったあと、母の編み方を思い出しながらこだしを作っていたそうです。
こだしの作り方は、編み道具にトジナを3本取ってのせ、「こも」と呼ばれる、重りがついた紐で交互に結んでいきます。単純な作業の繰り返しになりますが、少しの編み方の違いで網目がおかしくなるので、集中力が必要です。
また、トジナは、乾燥すると次に編む時に簡単にポキッと折れてしまうため、水に浸けたり、濡れタオルなどをかけたりして水気を保たなければならず、編みあげるには根気がいります。
完成までは1日2時間の作業を3日間行い、初挑戦の人で、計6時間で一つのカゴを編みあげました。こだしの大きさは、作る人によって違いますが、約30~40㎝の大きさになります。山菜採りや海藻採りに重宝されるこだしですが、アレンジによっては、ファッションとして持ち歩くこともできます。
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