画像:鹿島流しと作酒(さくじゃけ)

 八峰町峰浜の岩子集落と大久保岱集落では、田植えが終わる6月初旬、長さ2mほどの木造りの船に数体の「鹿島人形」を積み込んで川に流す「鹿島流し」を行っています。

 疫病を送り流すのが目的と考えられ、稲藁の人形を服や帽子で着飾り、布を巻いた人形の顔にマジックなどで表情を描きます。服や表情がそれぞれ異なるので、両地域の船は色とりどりの賑やかな「鹿島船」になります。

 船に乗せた鹿島様は、住民がリヤカーでひっぱりながら、集落会館を出発し、笛や太鼓のお囃子とともに地域を練り歩きます。鹿島様に供えたお餅を食べると風邪をひかないという言い伝えもあり、無病息災に加え、五穀豊穣、家内安全、交通安全などを願う行事として、両地域に受け継がれてきました。

 さらに、大久保岱集落では、秋の稲刈り前になると「作酒(さくじゃけ)」と呼ぶ収穫感謝祭を行います。作酒は鹿島流しから繋がる行事で、呼び名の言われは不明ですが、「作物」の「作」と「酒」を掛け合わせた、とも言われています。

 「収穫がこれから始まるよ」と景気をつける意味もあり、鹿島流しとともに神様に感謝の意を示す、大久保岱集落の大事な農村行事として受け継がれています。

平成24(2012)年5月掲載
令和2(2020)年12月更新
■参考文献
『峰浜村誌』

【関連リンク】産地直送ブログ
八峰町大久保岱集落の鹿島流し(2015年7月掲載)
大久保岱集落の作酒(さくじゃけ)(2012年11月掲載)

こちらの記事もおすすめです

旦那のイチョウ

   八峰町の大久保岱(おおくぼだい)集落には、大きなイチョウの木があります。旧沢目村の村長を務めた田村健一郎氏(明治22(1889)年~34(1901)年、村長歴任)の邸宅場所にあり、また、田村氏が村長として地域に貢献したこ...

自然・施設

花・樹木

岩子盆踊りと絵灯篭

  8月のお盆、八峰町の岩子集落では各家々の門前に手作りの絵灯篭を灯します。絵柄はアニメのキャラクターから浮世絵風の美人図と様々です。  絵灯篭のサイズは、大きいものでは大人の背丈ほどの高さがあり、岩子集落の婦人会...

伝統行事・イベント

郷土芸能

岩子小学校の歴史

-地域と子供たちを繋いだ「小さな大学校」-   昭和63(1988)年に新築された岩子小学校の白い校舎の壁面には、水沢川で川遊びを楽しむ人々が描かれた「岩子の詩」というタイルの大壁画があり、他にも星型の体育館、風見鶏タ...

歴史

地域の歴史