画像:鳳来院(ほうらいいん)

 鵜川地域を走る国道7号から県道212号に入り北上すると鳳来院が左側に見えてきます。
重厚な禅様式の本堂は、寛政8年(1796年)に再建されたものです。本堂の天井は、丸くくり抜いた「はめ込み天蓋」という貴重な様式で「八方睨みの竜」が描かれています。どの角度から見ても竜に睨まれているように見え、とても迫力があります。
 本堂横の位牌堂の2階には「羅漢堂」があり、京都の仏師・西田立慶の手による「十六羅漢像」が安置されています。この十六羅漢像は、昭和初期に能代市に修理に出されましたが、能代の大火が発生し、修理に当たっていた仏師宅が焼失の危機に直面しました。幸いなことに十六羅漢像は、火災が起こる前から収納庫代わりに使用していた土蔵に、たまたま入れられていました。周囲が焼け野原になっても土蔵だけは焼け残り、「羅漢の御利益」で難を逃れたと伝えられています。
 また、本堂には鵜川地域の久米岡集落出身で、秋田を代表する俳人・佐々木北涯直筆の「板額」が奉納されています。大きな板額には佐々木北涯の句と共に、鵜川地域の集落の人々が詠んだ俳句も記されています。地域の歴史を物語る、見どころいっぱいのお寺です。
 
平成27(2015)年3月掲載
■参考文献
『八竜町郷土史 郷土の記憶 龍騰』

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